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調査官もお役人です。

2015.02.04
| 税金・会計

起業家支援に命を懸ける会計士の梅川です。

私は年間で10件以上の税務調査に立ち会います。

税務調査を依頼者に有利に終結させるためには様々な工夫が必要です。

時には交渉も必要です。

その際、必ず考慮しなければならないのは税務調査に来る税務署職員の立場です。

一般の経営者の間では、調査官は一円でも多くの税金を取っていく税金徴収人だという認識を持っておられる方が多いかと思います。

もちろん彼らは税務官吏という側面を持っています。

しかし同時に彼らは行政官、いわゆるお役人であるということを忘れてはいけません。

公務員として就職したからには、彼らの多くは退職時まで大過なく過ごそうと思うはずです。

しかもできれば少しでも昇進しておきたい。

公務員の特典は退職金と老後の年金そして退職後のポストです。

では、公務員の出世の要因は何か。

確かに税務署の職員の場合、たくさん税金を徴収してきた職員は優秀でしょう。

しかしその優秀さは出世の上でどこまで評価されるかです。

彼らは徴税人であるその前提として、公正な税務行政を執り行う行政官であるわけです。

一般企業でもトップ営業マンが必ずしも社長に出世するわけではありません。

やはり組織には組織のルール、規範のようなものがありそれをうまくこなす人が往々にして出世するものです。

学校の教師や警察官などの公務員が飲酒運転で捕まるとニュースになります。

しかし、飲酒運転で捕まる人は他にもたくさんいますが一般の人はなかなかニュースにまではなりません。

公務員は強く世間からモラルを要求されます。

モラルに反するようなことを行ってしまい、それが世間に公表されるのは彼らには致命的になります。

だからこそ

「あなたの発言は違法です」

とか、「あなたの言動は納得できないので国税局に訴えます」というようなトラブルのもとをとても嫌います。

実際、税務調査の予告が来た時に税務署の担当官に「社長は今体調が思わしくないので」と申し出たところ担当官の方から調査の延期を言ってきました。

本当に社長は具合が悪く、なかなか回復しなかったので、延期後にそれを伝えたところ税務調査自体が中止となりました。

思うに、

税務署の担当官にとって、税務調査を行ってその結果、社長は具合が悪くなってしまった(最悪亡くなってしまった)と言われることが評価の大きな減点になるのでしょう。

調査で論点がこう着してお互い譲らずどうしようもない時、場合によっては税務署長あてに「申立書」を書くのも解決のための一つの手です。

税務署はお役なので署長あてに来た書簡は必ず署長に届きます。

申立書がある程度筋が通っていれば調査は納税者有利で終結する場合も少なくありません。

もちろん内容にもよりますが、税務署としては税金を徴収するために何が何でも裁判で争うとは思っていないものです。

税務調査官も「お役人」。

重要なポイントです。

今日も読んでいただきありがとうございました。

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