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税務署の主張は絶対?

2015.02.28
| 税金・会計

起業家支援に命をかける会計士の梅川です。

遠隔地に住んでいる家族を会社の役員にして役員報酬を支払っていた会社があります。

儲かっている会社なので税金対策だったのでしょう。

それが税務調査で指摘され、「支払った役員報酬の全額を否認する」と言われたようです。

社長はその指摘を受け入れ、修正申告を行いました。

しかも過去3年分にさかのぼって否認されたため、徴収された税金は加算税や延滞税を加えて1千万円を超えてしまったということです。

実はこの社長、税務調査に税理士の立会を行っていませんでした。

言ってみれば税務署の言いなりに修正に応じてしまったということです。

メルマガでは何度も紹介してきましたが、税務署の言い分が「絶対」などということはありません。

税務では実は「グレー」な部分が非常に多いのです。

そして税務署の調査官は、必ずグレーを「黒」といいます。

私の過去の経験では、グレーどころか明らかな「白」でも「黒」というのが税務署です。

くだんの社長の例でいえば、家族である役員に支払う役員報酬は正にグレーゾーンです。

一般的に「他人」である役員に支払う報酬は間違いなく経費といえます。

ところがその役員が「家族」となると、その家族である役員に支払う報酬は経費性のない「プレゼント」、税金逃れの経費の水増しと見なされる恐れがあります。

しかし、他人に支払う役員報酬は良くて、家族である役員支払う役員報酬はダメなどという法律はありません

「経費性」があるかどうかを判断するのは会社であり税務署ではないのです。

強いていえば最終的に判断を下すのは、裁判といえます。

そもそも遠隔地に住んでいる家族を役員にしてはいけないなどということはありえません。

会社法にもそのような規定はありません。

家族を日常業務は行わずに取締役会にのみ参加して意見を述べる「非常勤取締役」としていれば、遠隔地に住んでいても取締役としての責務を果たすのは不可能ではありません。

会社法でも、電話会議やスカイプでの取締役会を合法と認めているものと解釈できます。

確かに家族が取締役としての役割を果たしているかどうかは、証拠を示すのは容易ではありません。

しかし取締役としての役割を果たしているかどうかを証明する責任税務署側にあるのです。

これは非常に困難なことです。

そこで取締役として仕事をしているかどうかの判定根拠は社長の証言であり、取締役会議事録の存在ということになります。

従って、遠方に住んでいる家族を役員にしても、スカイプなどで最低四半期の一回程度の取締役会を開いて、その議事録をしたためておけば裁判でもまず負けることはありません。

もちろん、くだんの社長がそのような知識を持ち合わせていないのは仕方のないことです。

せめて税務調査時に、仕事のできる税理士に立会を依頼していれば、税務署の主張を是認して修正申告に応じるということにはならなかったはずです。

くれぐれも税務署の言い分を丸呑みにする愚だけはさけましょう。


今日も読んでいただきありがとうございました。

◆◆◆梅川公認会計士・税理士事務所◆◆◆

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